私の知ってる児玉by出町平次
- taichikodama
- 2018年9月25日
- 読了時間: 1分
最初に見たのは、確か京都のC.T.Tという試演会での一幕だった。
そこには、一つの肉体があった。
何というしなやかさ。何という力強さ。
体に巻き付く腕、掌、手、指。
引きはがそうとする意志、それに反するかのように絡みつく肉の蔦。
その姿は原初の大地で揺れるシャーマンの踊りのように見えた。
そして、その後ろに広がる広大な大地。
地面から生えたかのようにしっかりと体を支える大腿。
それに連なる体幹。捻じれ、筋張り、そして隆起した肉体。
この細く長い体に、砂漠の巨獣を思わせるほどの豪奢な獣性を見た。
そのくせ、その口から唸るように漏れる言葉は、経文のような重みと響きを持って、ひたすらに理性を吐き出していた。
武道、特に居合道の世界で、脱力からの一撃はふり幅が大きければ大きいほど、鮮烈なものとなるという。
児玉泰地という男の持つ、一種の凄みは普段の、「えへへ」と気さくに笑って見せたり、とてもおいしいカレーを作ったり、そんな見る人が、ほっとするような優しさから、一瞬で獣の双眸へと変わる、そんなところにあるのかもしれない。
A5ランクのステーキよりもゴージャスな肉体をもつ男。
それが、僕が児玉泰地に抱いている印象だ。
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出町平次
劇燐「花に荒らし」主宰 24歳

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