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私の知ってる児玉by出町平次

最初に見たのは、確か京都のC.T.Tという試演会での一幕だった。

そこには、一つの肉体があった。

何というしなやかさ。何という力強さ。

体に巻き付く腕、掌、手、指。

引きはがそうとする意志、それに反するかのように絡みつく肉の蔦。

その姿は原初の大地で揺れるシャーマンの踊りのように見えた。

そして、その後ろに広がる広大な大地。

地面から生えたかのようにしっかりと体を支える大腿。

それに連なる体幹。捻じれ、筋張り、そして隆起した肉体。

この細く長い体に、砂漠の巨獣を思わせるほどの豪奢な獣性を見た。

そのくせ、その口から唸るように漏れる言葉は、経文のような重みと響きを持って、ひたすらに理性を吐き出していた。

武道、特に居合道の世界で、脱力からの一撃はふり幅が大きければ大きいほど、鮮烈なものとなるという。

 児玉泰地という男の持つ、一種の凄みは普段の、「えへへ」と気さくに笑って見せたり、とてもおいしいカレーを作ったり、そんな見る人が、ほっとするような優しさから、一瞬で獣の双眸へと変わる、そんなところにあるのかもしれない。

A5ランクのステーキよりもゴージャスな肉体をもつ男。

それが、僕が児玉泰地に抱いている印象だ。


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出町平次

劇燐「花に荒らし」主宰 24歳



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